サヴァイヴのエロ・パラレル小説 | 01_エアバスケのユニフォームのまま、体育倉庫でセックス
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01_エアバスケのユニフォームのまま、体育倉庫でセックス

2143 文字(読了目安: 10分)

テスト投稿です。続けられるかわからないですが、がんばります。※まだエロパートには入りません

2024/3/17 14:37

chapter:1, 試合終了

「やったーーーーっ!勝ったよ、カオル!」

 試合終了を知らせる笛の音と同時に、ユニフォーム姿のルナが両手を広げて駆け寄り、カオルの首元に腕を回して抱きついた。ほとんど体当たりのような勢いだった。ルナの全力を受け止めたカオルは、コートに注目が集まる歓声の中、先ほどまでの試合の興奮とはまた違った理由で顔を赤らめながら、自分に密着するしっとりと火照った少女の身体を、即座に両手で穏やかに引きはがした。

「っ……ルナ。勝てたのは嬉しいが、みんなが見てる」 「え!? ……あ、ごめん、汗臭かったよね……!」

 ルナは一瞬だけキョトンとした表情を浮かべたが、さすがに観客からの視線に気づいたのか、瞬時に顔を赤くして、カオルといったん距離を取った。スポーツの高揚感で舞い上がって、男子であるカオルに対しても、ついいつもの癖を発揮してしまったことに思い至ったらしい。視線をどこかへ向けたままごにょごにょと言い訳をし、照れ隠しなのか、カオルにさっと背を向けてそのまま他の3人のチームメイトのほうに小走りに近づいていき、お互いにハイタッチを交わしていく。  カオルは先ほど受け止めたルナの体重と、自分の汗ばんだ首元の感触に少しだけ名残惜しいものを感じながら、その快活な少女の後ろ姿を眺めた。チームメイトたち全員の活躍をねぎらい、ルナとカオルのおかげで勝てたありがとう、と返されると、ルナは本当に嬉しそうな笑顔を浮かべるのだった。勝利の報酬として、彼にとってまさにそれ以上に価値あるものはない。カオルはその笑顔を目に焼き付けながら、熱気に包まれた体育館を後にした。

 ***

 ソリア学園の全学年を挙げての男女合同エアバスケット・トーナメント。今日はその決勝の日だった。ふつうエアバスケは敵味方が3対3の編成でプレイされるのが基本だが、今回は大会準拠のルールで競技が行われることになり、5対5のチームでコートもより大きく、空中に設置される箱型のゴールポストの回転の設定もかなり速くした状態で開始されることになっていた。  ルナとカオルが所属するチームは、予選試合の順位をあっという間に駆け上がった。漂流から帰還して以降、ひと月ほどして復学したソリア学園の7人は、否応なく注目の的にされるということは避けられなかったが、中でもルナとカオル、シャアラの三人は別の意味で学内の関心を呼んだ。  身体能力がバツグンに向上していることが知れ渡ったのがその要因である。カオルのそれであれば以前からもクラスメイトの多くが知ってはいたが、今回の試合で彼が魅せた妙技の数々は、もはや人間離れの領域で、観客を驚愕させた。  かつての彼は不愛想で近寄りがたい存在であり、この人物と積極的に関わろうとするものはまず居なかった。しかし今はあるていど打ち解ける雰囲気を持つ少年となり、挨拶をする相手もかなり多くなったようで、その変化に驚いているものも多い。  また、奨学金を得た転入の直後に修学旅行の事件に遭遇し、『御曹司ハワードに逆らったオレンジ色の髪の少女』という以外にあまり情報のなかったルナに対しては、同級生の多くが関心を引き付けられた。その当時のエアバスケの試合で、シャアラとカオルを味方にしてハワード率いる敵のチームをコテンパンにした様子を、戦々恐々として遠巻きに見ていた彼らも、クラスに勝利をもたらしたルナの凱旋を、盛大な拍手で迎えるのだった。といってもハワード自身、もうその当時のままではなく、クラス中に歓迎されなかったあの頃の陰険な雰囲気はどこかへ飛んで行ったようだったが。  そして意外なことに、シャアラもトーナメントで大活躍していた。漂流生活を経て、心身ともに鍛えられた彼女は朗らかに笑うようになり、同級生たちは彼女のキャラの違いに当初戸惑いながらも次第に受け入れていった。特に、準決勝で決め手となったダンクシュートはあざやかで、観戦者たちのあいだに小さなどよめきが走るほどだった。髪を縛り、小柄な身体を活かして敵チームの間を縫うように走り抜け、ゴールキューブの手前で躍り上がって格好よく点を獲得したとき、どちらのチームの面々も口を開けて唖然としていた。惜しくも敗れてしまい、決勝試合までには進めなかったものの、試合後にはエアバスケ部の顧問がシャアラを選手にスカウトするというような一幕もあった。

 舞台の上に簡易に作られた表彰台には、ルナがチームを代表して上がった。閉会式で金メダルを主催者から授けられた彼女の顔は誇らしげに輝き、写真撮影の際には前方に突き出したVサインと一緒に、年相応の弾けるような笑顔を観客に向けていた。そうして撮られた写真の中で、あの長かった漂流生活を物語るのは、手足に刻まれた切り傷や打撲を受けた皮膚のわずかな痕跡だけだった。かなり薄くはなったが、重なった傷跡だけはルナのナノマシンでも治せないようで、仲良くなったクラスメイトがどれだけ軽口を叩いてもおいそれと触れないようにしているのは、あの七人の身体に共通に存在するこうした[[rb:きずな > ・・・]]に関する話題だった。『コロニーでの何不自由ない暮らし』をいまも変わらず送り続ける彼らにとって、外界からもたらされたそれは、あまりにも暴力的で生々しい、野生の戦いを思わせる。